全日本柔道連盟は29日、全日本選手権(天皇杯)後に強化委員会を開き、男子の世界選手権(10月6~13日、ウズベキスタン・タシケント)100キロ超級に代表に天皇杯優勝の斉藤立(20=国士舘大)を選んだ。

会見に臨んだ男子の鈴木桂治監督にとっては、その父の斉藤仁氏は恩師。立は生まれた時から知っており、国士舘大では指導にもあたっている。長所、課題も熟知するだけに、暖かくも厳しい言葉が続いた。

「厳しいこと言えないかなと小学校の時は思っていたが、いまは動じない。コーチの話を聞いて、本人もものすごく成長している。(父が)亡くなられてからの成長は著しいと感じていた。どうしても身内びいきは好きではないので厳しいこと言うと、たくさんの課題がある。世界代表が、自覚を持って、責任を持って代表を受けてほしい。代表になることが目的じゃない。金メダルを取って帰ってくるのが日本柔道の目標ですので、これから合宿などもありますので、もっと二回り、3回りも成長してほしい」。

自身も故斉藤氏の厳しい指導のもとで金メダルのために苦難を越えてきた。だからこそ、初の世界代表の先を見ている。

その才能については「立って投げることができる」と評す。稽古でも、指摘の目的を理解しているそぶりがみられ、「斉藤先生のDNAを受け継いでいる部分がある」と感じる事も多い。

昨年の国際大会での優勝経験はあるが、今後は日本代表としてより多様な外国勢と戦う事になる。

「(自分より)パワーもあり、上背があり、体重が重い選手もいる。そういう選手と日本で戦うことはない。どう戦うかを考えないといけません。100キロ級から上がった選手でスピードあり、担ぎ技の選手も増えている。斉藤選手にとってはあまり稽古しない、得意としない選手が数多い。そういった選手といかに対策、対応ができるかが課題になる」。

まだまだ成長途中。しっかりと課題を意識させ、鍛え上げていく。【阿部健吾】