24年パリ五輪の金メダル候補だ-。女子200メートル個人メドレーで、アジア大会(9月、中国・杭州)代表入りを決めている15歳の高校1年、成田実生(みお=金町SC)が2分11秒41の自己ベストを更新し、東京五輪金メダリストの大橋悠依(26)に次ぐ2位に入った。予選は大橋を抑えてトップ通過。決勝は4番手で折り返すと、順位を上げ、金メダリストに0秒71差まで迫った。女子100メートル自由形は池江璃花子(21)が学生新の53秒83で、50メートルバタフライに続き2冠に輝いた。

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東京五輪金メダリストに0秒71差に迫った。レースを終えると、成田は隣のレーンの大橋に声をかけられた。

「自己ベスト?」

「はい。自己ベストです」

おめでとう-と差し出された右手をしっかり握り返した。「うれしかったです」と笑った。

午前に行われた予選では大橋と同じ組で泳いで先着し、全体1位で通過した。決勝でも大橋の隣のレーンからスタートし、前半のバタフライ、背泳ぎでは4番手。100メートル地点で2番手大橋との差は0秒90あったが、得意の平泳ぎで差を詰め「(大橋の姿は)見えていた。頑張っていこうと思った」。最後の自由形まで懸命に追いかけた。

「頑張ったけれど、ぜんぜん差が縮まらなかった。まだまだです」。金メダリストとの実力差を認めたが、自分の現在地をしっかり把握。2年後のパリ五輪に向けては貴重な経験で、大きな糧になったことは間違いない。

3月の国際大会日本代表選手選考会では、女子400メートル個人メドレーで大橋悠依に先着し、4分36秒71の世界ジュニア記録を樹立。しかし、快挙達成の翌日には東京五輪カナダ代表で同い年のマッキントッシュに記録を塗り替えられ、「ちょっと悔しいけれど、追いつけるように頑張る」。大会後の日本代表合宿などで気合を入れ直した。

今春からは、池江璃花子の母校でもある東京・淑徳巣鴨高に進学。電車通学など新しい生活に慣れるのが大変で、「毎日がへとへと」と打ち明ける。片道45分の電車通学は「満員電車で大変だけれど、そこはポジティブに考えて、通学で体力がついたかな」。

アジア大会には大橋に先着してつかんだ400メートル個人メドレーで出場することが決まっている。2年後のパリ五輪では17歳。金メダル候補の夢は広がる。【奥岡幹浩】

○…東京五輪2冠の大橋が貫禄を示した。2番手で前半を折り返すと、最後の自由形で先頭に立ち、そのままフィニッシュ。「後半に粘れたところが良かった」とうなずいた。2位の成田や、前日の400メートル個人メドレーを制した谷川ら若手が台頭する中で、「200メートルは今後、自分がメインにしていきたい種目。ひと回り年下の子もいるが、まだまだ負けるつもりはない」と宣言した。

◆成田実生(なりた・みお)2006年(平18)12月18日生まれ、東京都葛飾区出身。金町SC所属、淑徳巣鴨高1年。幼稚園入園前からスイミングスクールに通い始める。得意種目は背泳ぎ。趣味は絵を描くことと、家族でのドライブ。好きな教科は英語、苦手は数学。身長160センチ、体重42キロ。