東京オリンピック(五輪)トランポリン女子代表で、19年世界女王の森ひかる(22=TOKIOインカラミ)が、日本女子初の“プロ”転向だ。9日、都内で現役続行表明と新たな所属契約の会見を開き、「プロになります。トランポリンを続けて、復活というか、立ち上がっていく姿を見て、少しでも勇気だったり、心を動かしていただけたらと思っている」と、気持ちを新たにした。

19年世界選手権個人で優勝し、東京五輪は一気に金メダル候補に躍り出た。しかし、本番は、「1カ月前からジャンプが怖くなって」と、第2自由演技の途中で中断。11位で、上位8人が進める決勝進出を逃し、予選で敗退した。「心に大きな傷を負った」ことで、引退も頭をよぎった。

今年3月に金沢学院大を卒業した。昨年11月の世界選手権後、「(引退して)就職するかもしれないから、今しかチャンスがない」と、人生初のアルバイトにいそしんだ。金沢市内の回転すし屋で、「お皿も数えて、レジも打って。本当に楽しかった」。

少しずつ「やっぱり、頑張っている人はすてきだ」という気持ちがわいた。2月の北京五輪で女子ジャンプの高梨沙羅を見て、「私と同じ失敗だけど、私は感動した。だから、私もまだ感動させられるかも」と、現役続行を決意した。

2月中旬、大学の同期は、すでに就職が決まっていた。その中、企業をピックアップ。自らメールなどで営業活動を行い、その中に、今回、契約したTOKIOインカラミがあった。これからは、トランポリン一色の生活で、実質的には「プロです」。

日本体操協会には、プロ登録というものがない。体操の内村航平がプロに転向したのも、自らがプロ宣言し、協会に報告に行っただけだ。トランポリンの日本男子では、過去に上山容弘、外村哲也、伊藤正樹らが、実質、プロ的な位置づけだったが、日本女子では初となる。

東京五輪で、女子で優勝した朱雪瑩(中国)に、「金メダル持っている?」と声をかけた。朱に頼み、金メダルを首からかけてもらった。表彰台に乗った選手を見て「本当にかっこよかった」。やっぱり自分もそこに戻りたいと思った。

復活の舞台は、5月22日に前橋で行われる全日本年齢別選手権だ。そこで、自身最高難度の「難度点15・0点の演技構成をやります」と宣言だ。過去14・8点が自身最高で、東京五輪でも「14・6点だったと思う」。完成度はまだまだだが「どんどん挑戦していくのが今後のテーマ」。そして、その先には、パリ五輪も見えてくる。【吉松忠弘】