日本の司令塔争い。先発した21歳のSO李承信(リ・スンシン、コベルコ神戸スティーラーズ)には、収穫と課題があった。

安定した試合運びで前半を35-19とリード。バックスの展開力からトライを奪い、李は後半28分に交代するまでキック全てを決めて15得点(6G、1PG)を挙げた。

一方で後半20、27分と22メートルライン付近からオーストラリアAに攻め込まれると、抜け出した相手に右タッチライン際でタックルに入る際に止めきれず。2回ともトライに結びつけられた。最大23点差は、その時点で一気に45-43と2点差まで追い上げられた。

「課題にしていた1対1のタックルを決めきれなかったので、もっと成長しないといけないです。貪欲に個人練習をして、自分を見つめなおしたい。しっかりと相手の懐に入らないといけなかった。(自身の)頭が下がっていたので(相手が)見えていない。体が小さい分、しっかり止められるようにしないと(強豪国には)通用しない」

19年W杯日本大会ではSOは田村優が不動の存在。現在は李が頭ひとつ抜け出した構図か。

そこに、この日は途中出場だった山沢拓也や、FBで先発した山中亮平もSOをこなせる。さらに、負傷で招集外の松田力也もいる。

テストマッチを含め、過去12戦全敗だったオーストラリアに13戦目で初勝利。とはいえこの日の相手は事実上の2軍で、テストマッチ対象試合ではなかった。

今後は29日にニュージーランド代表と国立競技場でのビッグマッチを控える。11月の欧州遠征ではイングランド、フランスと対戦する。

21歳の新星が、司令塔の座を揺るぎないものにできるか-。

自分自身と向き合う日々。長所を伸ばし、課題を克服する作業が続く。【益子浩一】

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