14年ソチ、18年平昌オリンピック(五輪)2連覇王者で、今年7月にプロ転向した羽生結弦さん(27)が夢を現実にした初の単独アイスショーの7曲目には、あの感動の曲を持ってきた。

22年北京五輪のエキシビションで舞った「春よ、来い」。イナバウアー、ハイドロブレーディング、ディレードアクセルを、豪勢なプロジェクションマッピングに合わせて、しっとりと演じた。

そしてアンコール。高倍率の抽選で選ばれた約7900人で埋まった場内から、大きな拍手を浴びる。出てきた。最後は「パリの散歩道」だ。初めて夢の金メダルを手にした14年ソチ五輪のショートプログラム(SP)曲を披露した。

19歳の時に思いをはせ、観客席を見上げて何度も手を振った。従来は2曲も踊ればお役目全うとなる中で、リクエストも含めて8曲も舞った。

7月19日のプロ転向会見から108日。「構想を練って、VTR、セットリストを考えて考えてきた。自分の中で妥協せず、お見せできるもの全てを出したかった。新しい羽生結弦のショーの形を見守っていただけたら」と呼びかけた。

体力強化が1つの鍵となったが「1曲だけでも疲れ切ってしまう僕が(90分間の)通しを5回、やり切って、今日を迎えられるまで強化してきた。演出も今朝までかかった」中で、1人だからこその理想を追い求めた。【木下淳】