7年ぶりの全国切符を狙った京都工学院は「泣き虫先生」も見守る中、あと1歩届かなかった。

0-20に引き離された後半17分、キックパスを拾ったSO吉田雅(3年)がそのままトライを決め、一矢報いた。しかし反撃は続かず、京都で7連覇となった相手に屈した。

大島淳史監督(40)は「魂込めてやってくれた」と選手をたたえ「ここに勝つために一生懸命努力して、タイトな試合をするところまでできているのが一番の成長。最後、勝たせてやれなかったのが申し訳ない」と目を赤くした。

往年の人気ドラマ「スクール☆ウォーズ」で有名な伏見工を前身に持つ同校。18年4月、学校統合で現在の校名に変更された。この日、観客席では「泣き虫先生」として知られ、80年度大会で全国初優勝を果たした山口良治元監督(79)も観戦。降りしきる雨に「大変な日になったね」と笑顔を見せた。

山口さんは「今と昔の違い」について「今は学校のクラブ活動も規制されている。昔は見えない所へ連れて行って夜遅くまで頑張ったりしていたが、今の子は時間が限られている。なかなかプラスアルファの力は見えてこないと思う。大きい子やうまい子、速い子を選べる学校は良いですけどね」と、当時とは違った難しさを口にした。

そして、「それだけに勝つ意味というのは大きいので、頑張って欲しいと思う」と続けた。

チームスローガンに「挑戦創造」を掲げ、戦い抜いた同校。主将のWTB石田一休(3年)は「自分たちはチャレンジャーだという気持ちを忘れずに、伏見工業の伝統を受け継ぎつつ、自分たちの『京都工学院』で新しい歴史をつくろうという意味を込めました」。

多くの伝統を胸に、京都工学院の新たな歴史が始まっていた。【波部俊之介】