1年前の悔し涙が、うれし涙に変わった。東海大静岡翔洋が、4年連続同一カードとなった決勝で静岡聖光学院を22-12の逆転で下し、2年ぶり12度目の優勝を飾った。津高宏行監督(39)は「去年のスコアをひっくり返そうと1年間やってきた。うれしい」。7-21で敗れた昨年の雪辱を果たし、花園切符を獲得。選手たちも、顔をくしゃくしゃにして喜んだ。

3-7の前半33分。WTB保竹翼(3年)が、右サイドで輝いた。敵陣左から展開したボールを受け、右隅に逆転トライを決めた。「来ると思った。冷静に空いたスペースに決められた。前半で逆転できたことが大きかった」。勢いに乗ったチームは後半にも2トライを奪い、逃げ切った。

今季、チームはハンドリングと速いテンポでのパス回しを強化してきた。指揮官は「去年の決勝ではキッキングゲームに持ち込まれてしまい、自分たちの良さが出せなかった」。この日、敗戦の反省から磨いてきた“新たな武器”が生きる。積極的なパス回しで相手のファウルを誘い、雨中決戦を優位に進めた。保竹は「やってきたことが生きたと思う」とうなずいた。

全国大会の組み合わせ抽選会は来月3日に行われ、同27日開幕(大阪)する。2年前の大舞台では、1回戦で秋田工に0-68で敗戦。当時から主力の名取稜太郎主将(3年)は「シード校撃破が目標」。保竹も「今日の課題を修正して全国でもトライを決めたい」と気を引き締めた。目指すべき勝利は、まだ先にある。【前田和哉】