男子準々決勝で創部3年目の札幌大谷が旭川工を2-0で下し、初の4強進出を決めた。札幌大谷中バレーボール部設立から6年目。初代の選手たちが「最終学年で全国出場」の夢実現へ、残り1勝に迫った。

第2セット、24-22のマッチポイントとなった時点で、エース坂本隼(3年)は確信した。「最後は必ず自分にボールを持ってきてくれる。みんなの思いを乗せて決める」。レフトに飛んできたトスを、相手コート中央にたたきつけ、試合を決めた。

5年半前、歴史は7人で始まった。「練習試合はいつもボロボロ。そんな中でも必ずいいプレーが1つか2つあって、それを大事にしていけば、必ず6年目は全国に行けると信じていました」と、ピンチサーバーの石田七瀬(3年)は創部時を振り返る。

思いは高校にも引き継がれ、他の中学校から加わった部員も共有した。1年で16強、2年で8強。そして部員は32人になり、「バレーボールを始めたころ、テレビで見て憧れた」(小原和也主将=3年)準決勝の舞台にたどりついた。

全国出場(2校)がかかる準決勝では、酪農学園大とわの森三愛と対戦する。三原隆佑監督(32)が07年に主将として春高バレーで全国初勝利に導き、そして恩師の山田和弘前監督(65)に指導を受けた母校が、初全国への最終関門となる。「勝って恩返しがしたい」と三原監督。選手も指揮官も思いを1つにして、夢の扉を開く。【中島洋尚】