バレーボールの全日本高校選手権(春高バレー、来年1月4日開幕、東京体育館)の組み合わせ抽せん会が4日、行われ、男子の東海大札幌(北海道)は1回戦で全国優勝17度の名門・崇徳(広島)との対戦が決まった。8月の高校総体直前に左足首靱帯(じんたい)を断裂、本調子を欠いて強行出場したセッター成田陽介(3年)が、巻き返しを誓った。

「当時は本来の70%ぐらい。負けたのは僕のせい」。約1カ月後の春高バレー本番を控え、司令塔は夏の悪夢を振り返った。総体3週間前の東北大会で、着地の時に相手選手の足を踏んだ。足の指までパンパンに腫れ上がり、見た目からも痛みからも「もう『インターハイは無理』と思った」(成田)という。

大会出場にわずかな望みをかけて、手術せずに保存療法を選択。連日通院とリハビリを繰り返し、本番3日前に全体練習に復帰した。痛みは引いたが、跳ぶ、着地といった動作には恐怖が伴った。「ほとんど全てのジャンプが右足踏みきり。トスも同じサイドにしかあげられなかった。コンビの不安があるまま大会に入りました」と成田。松田修一監督(36)の絶賛する「アタッカーの打ちやすい、丁寧なトス」が少しだけぶれ、チームは決勝トーナメント1回戦で近江(滋賀)にフルセットで敗退した。

主将の山田祐輝(3年)は「成田はチームの心臓」と、存在の大きさを語る。だからこそ最後の舞台では山田と二川颯斗(2年)のダブルエースに最高のトスを上げ続け、最高の結果をもぎ取るつもり。「ミドルにもライトにも、100%打ち込めるトスを上げます」。アタッカーの威力を十二分に引き出す、優しく、正確無比なトスで、まずは初戦を突破する。【中島洋尚】