ジュニア1年目でショートプログラム(SP)首位の島田麻央(14=木下アカデミー)が、初出場優勝を飾った。フリーも1位の135・88点を記録し、合計205・54点。日本女子では09年村上佳菜子以来13年ぶりの頂点に立った。

注目された冒頭のトリプルアクセル(3回転半)は手をつき、続く4回転トーループは回転不足だった。

「優勝できたことはすごくうれしいんですけど、2本(3回転半と4回転トーループ)降りることを目標にしていたので、演技の内容には満足いっていないです」

そう手放しでは喜ばなかったが、快挙だ。国際スケート連盟(ISU)公認大会では日本女子初となる4回転トーループ成功は持ち越しとなった。4回転ジャンプとしても02年安藤美姫の、このジュニアGPファイナル以来20年ぶりの快挙はならなかった。しかし、しっかり着氷したことで初Vへの得点を積み上げた。

初参戦で最終滑走という重圧にも負けず、持てる力を出し切った。前日8日のSP後には「すごく緊張感があると思うんですけど、最終滑走と思うと緊張してしまう。『まだ次に誰かいる』と思ってやろうと思います」と心理的な対策を明かしていた。

年齢制限の引き上げによって26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪(オリンピック)に出場することはできないが、かねて「全然、残念とは思っていないんです。まだまだ実力が足りていないので、出られる年(30年)の五輪で代表に選んでいただけるように、これからも変わらずに頑張っていきたいです」とも誓ってきた。夢へ着実に、まずは国際タイトルを1つ手にした。

ジュニアGPシリーズ2連勝に加え、ファイナルも初優勝。国際舞台で大きな自信をつけ、推薦で出場する初めての全日本選手権(12月21~25日、大阪・東和薬品ラクタブドーム)に向かう。(トリノ=松本航)