フィギュアスケート全日本選手権の全日程が終了した25日夜、来年3月の世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)に出場する日本代表が発表された。大阪市内で会見が開かれ、男子は全日本1位の宇野昌磨、5位の山本草太、3位の友野一希に決定。一方で2位の島田高志郎が選ばれず、4大陸選手権(来年2月、米コロラドスプリングズ)に回った。この選考について宇野が「あまりうれしくない部分はある」と発言、日本連盟の竹内洋輔強化部長が対応する一幕があった。

異例だった。自国開催で注目されていた世界選手権の代表発表。その会見壇上で全日本優勝の宇野が発言した。冒頭、いきなり「選考基準っていうのは、どういったものか僕にはよく分からないけれど、あまりうれしく思えない部分はあります」。その点について質問された宇野は「一時の感情でコメントしたくないので控えます」。真意は不明だが、全日本2位の島田が世界選手権代表ではなく4大陸の代表に回っていた。

会見では日本連盟の説明が予定されておらず、終了後、竹内強化部長が急きょ対応。例年通り全日本は代表最終選考会となっていたが「全日本一発勝負ではない」と説明し、宇野の発言については「聞いただけだが、しっかり話せば理解してもらえるはず」とした。

規定と竹内氏の選考理由説明によると、島田は「全日本2位」の基準だけを満たしていた。他には国際スケート連盟(ISU)の世界ランキングや技術点など複数あり、全日本5位の山本が世界代表2番手、3位の友野が3番手として島田を上回っていた。

これらを「総合的に判断し、強化部会がフィギュア委員会に諮った結果、決定した」と竹内氏。この基準を「シーズン前に選手陣営に説明して公平性を保っている」と強調した。結果として島田は全日本4位の佐藤駿も下回り、全体5番目の評価で補欠2番手となった。代わりに若手による4大陸への派遣が決まった。

女子も全日本12位の渡辺倫果が選ばれた。今季のスケートカナダ優勝やGPファイナル出場など実績は残しており、選ばれる資格は十分あるが、世界選手権の初代表に選ばれても、同じく初の男子山本とともに「全日本は悔しかった」と声をそろえる状況になった。

スケーターは、これまで国際大会に出て結果を残して、選ばれただけだ。その中で率直に出た、世界選手権2連覇が懸かる宇野の発言。竹内氏は「どの点に対して不満なのか把握できていない」とし「私が会見で先に説明していれば良かった」とした。「総合的判断」に集約される選考については賛否が分かれて当然だが、毎年注目の発表は異例事態となった。【木下淳】