88年度に全国制覇した茗渓学園(茨城)が、新たな武器となる強力FWで3大会ぶりの初戦突破を飾った。光泉カトリック(滋賀)を53-0で圧倒。躍動感ある展開ラグビーが魅力の強豪に力強さが加えられ、2回戦(30日)は前回準優勝のBシード国学院栃木との隣県対決に臨む。最多70度目の出場で優勝15度の秋田工や、強豪の目黒学院(東京第2)などが勝利。2回戦からは2連覇を目指す東海大大阪仰星(大阪第3)などシード校が登場する。

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叫んでいたのは茗渓学園のFWだった。3-0の前半9分、相手陣でのスクラム。8人が塊で一気に押すと、主審は相手の反則を取った。3点追加を狙った約40メートルのPGこそ外れたが、同13分にはフランカー小川がラック際に最初のトライ。前半3トライは全てFWだった。OBの高橋健監督(58)は「(前半の展開はFWで)いけたからでしょう。リザーブに125キロの1年生(和田)もいます」と戦いぶりに胸を張った。

グラウンドを大きく使う展開ラグビーで魅了してきた。天皇崩御で大工大高(現常翔学園)との両校優勝となった88年度。決勝が中止となったグラウンドでは、スパイク袋をボール代わりにタッチフットをしていた。12年度には縦横無尽に走り回り、3連覇中の東福岡に土をつけた。その伝統は続く。加えて今秋、コロナ禍で延期していた創部40周年を祝う場でOBからスクラムマシンが贈られた。先輩からは「スクラムで劣勢になり、負けるのは見たくない」と激励を受けた。

FWは新しいマシンに向け、週2回スクラムを組み続けた。スクラムリーダーの2年生フッカー川村は「弱いスクラムは見せられない。ヒガシ(東福岡)も押せるスクラムを作りたい」と優勝候補の名を挙げた。

春の全国選抜大会は新型コロナウイルスの陽性者が確認され出場辞退。主将のNO8松永は「最終的に目指すのは花園だぞ!」と仲間を奮い立たせた。次戦は新チーム結成当初に約70点差で敗れ、今季3戦全敗の国学院栃木。スクラムのかじ取り役となる川村は「去年は押された。今年のスクラムはひと味違うぞと見せたい」。FWとBKの融合で年を越す。【松本航】