青森山田が「冬の初陣」で堂々の白星発進だ! 明和県央(群馬)を33-14で下し、初出場から4大会連続初戦突破を決めた。トンガ人留学生FBフィリモネ・サイア(3年)が、先制を含む2トライでチームに勢いをもたらした。日本代表WTBシオサイア・フィフィタ(24)は、いとこで憧れの存在。背中を追うように海を渡り、慣れない環境下に身を置いた。集大成の冬。3年間の成長を花園で示す。

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「トンガパワー」で青森山田フィフティーンを勇気づけた。前半1分だ。30メートルの左中間ラックから右に展開。軽快にパスをつなぎ、最後はサイアが相手DFを振り切って右中間へ先制トライ。「みんなが緊張していた。早めに1トライを決めて、みんなを元気にしたかった。決められてうれしかったです」と笑みがはじけた。7点差の前半19分には自らが起点となり、この試合2本目となるトライで追加点を奪った。

憧れの存在がいる。日本代表の主力で、いとこのフィフィタだ。サイアは「フィフィタさんはディフェンスがすごくてアタックもすごく強い」と目を輝かせ、アドバイスをもらったこともある。日本代表戦は必ずテレビ観戦し、刺激を受けている。将来はいとこ同士で日の丸を背負い、共闘するのが夢だ。

来日3年目。最初は戸惑った異国での生活もすっかりなじんだ。好きな日本食は「うどん」。チームメートとも仲が良く、トンガの音楽で一緒に盛り上がり、ムードメーカーも担う。だからこそ、ワンチームに強くこだわる。「みんなと一緒に戦う思いが強い。1人だけのプレーヤーではない」と言い切った。

難敵を撃破し、目標の「花園8強」へ大きな弾みをつける。3大会連続で涙をのんだ2回戦(30日)ではBシードの名門・天理(奈良)が待ち受ける。「もう少し、ミスをしないようにチームプレーを心がけていく」と言葉に力を込めた。最大の武器である一体感でジャイアントキリングを果たし、鬼門を突破する。【佐藤究】