3月、カタールで行われた体操・種目別ワールドカップドーハ大会床運動で銀メダルを獲得した南一輝(23=エムズスポーツクラブ)が28日、母校の仙台大を表敬訪問。南は、同大会決勝でH難度の新技「ミナミ」に成功。銀メダルと新技成功の2つのニュースを報告した。

演技開始早々に新技「ミナミ」を決めた。着地で少しよろめいたものの、しっかりとポーズを取り「よし、立った」。次にF難度の「シライ2(前方伸身宙返り3回ひねり)」を決めて波に乗った南は、以降も正確な演技を続け、14・200点をマーク、表彰台に立った。

村上遼青コーチ(23)の「大丈夫」に背中を押された。「ミナミ」を練習で初めて成功させたのは19年。大学2年の秋だったが、その後はけがなどの影響があり、「できて、できなくてがあった」。同大会前の練習でも全然成功させられず、ギリギリまで挑戦すべきかどうか悩んでいたが、村上コーチの一言で踏ん切りがついた。自信を持って挑戦し、見事成功。南は「1人だったらできていなかった。周りの支えや応援があって完成できた技だと思います」と感謝した。

今後は4月に全日本体操個人総合、5月NHK杯、6月に全日本体操種目別を控えている。これらの大会結果により9月に行われるアジア競技大会や世界選手権への出場が決まる。南はさらにその先のパリ五輪も見据えて、「技の難度で世界最高、きれいさでも世界最高が取れれば誰にも負けない選手になる。その部分をもっと磨いていきたい」と気合を入れた。「世界選手権で団体金メダルと種目別のゆかで金メダルを、パリ五輪でも金メダルを持って帰ってきて、またあいさつができれば」。見据える明るい未来へ、ゆかの上で「南一輝」を表現し続ける。【濱本神威】

◇H難度「ミナミ」 後方かかえ込み2回宙返り3回半ひねりの大技「リ・ジョンソン」に、さらに半分ひねりを加えたもの。南が競技会で初めて成功し、国際体操連盟から正式認定される見込み。