泥沼の最下位に沈んでいた花園近鉄ライナーズが、ラスト1プレーの逆転劇で今季初勝利を挙げた。

6点差で迎えた終了間際。ゴール前5メートルのラインアウトからモールを押し込んで、フッカー樫本敦がトライして1点差。その直後にラスト1プレーを告げるホーンが鳴った。

SOジャクソン・ガーデンバショップの際どい角度からのゴールも決まって逆転に成功。

花園のナイター、集まった約5000人が総立ちになった。

一時は23点差をひっくり返した。3-26で迎えた後半開始直後。中央付近のスクラムで、花園のFW陣が神戸を圧倒し反則を奪った。

すると、神戸SH中嶋大希がボールを抱えたまましばらく離さず。

花園ボールのため元オーストラリア代表SHウィル・ゲニアがボールを渡すよう求めたが、それでも離さなかったことで、ゲニアが中嶋の襟元をつかむようなしぐさを見せた。

これに中嶋が激怒し、やり返すと、両軍入り交じって乱闘になった。

会場は一気にヒートアップ。この乱闘で結束を強めた花園は、直後に日本代表CTBフィフィタが反撃のトライ。勢いに乗り、後半9分にもWTB南藤辰馬が飛び込み、追い上げムードになった。

同14分には中央付近の神戸ボールのラインアウトをSHゲニアが奪い取り、一気に敵陣深くへ。それを起点に、フィフィタが再びトライし、ゴールも決まって24-26と2点差。PGでついに勝ち越しに成功した。

その後、再び神戸にトライを許すも、終了間際にひっくり返した。

摂南大出身で花園ひと筋の35歳、殊勲のフッカー樫本は「最後は全員のトライです。行けると思ったので飛び込みました。負け続けて、そこから学んで、やってきたことは間違っていなかったと思えました」と笑顔で話した。

2トライのフィフィタも「すごくうれしい。みんなを信じていた」と語り、フランカー野中翔平主将は「たかが1勝かも知れないが忘れられない1日になった」と感無量の様子だった。

開幕から続いた連敗は14でストップ。既に入れ替え戦出場が決まっている花園だが、残留へ、大きな自信をつかんだ。

神戸は歴代ワーストとなる10敗目。