ラグビー日本代表(世界ランク12位)は5日午後7時15分、フィジー(同10位)とのテストマッチ「リポビタンDチャレンジカップ2023パシフィックネーションズシリーズ」に臨む。

4日は会場の東京・秩父宮ラグビー場で最終調整。9月開幕のW杯フランス大会で3大会連続出場が懸かるFB松島幸太朗(30=東京サントリーサンゴリアス)は、FBとして今年3戦目の先発となる。ジョネ・ナイカブラ(29=東芝ブレイブルーパス東京)、セミシ・マシレワ(31=花園近鉄ライナーズ)の両WTBと攻撃的な“3本の矢”で難敵を崩す。

15日のW杯メンバー発表前最後の実戦。攻守の要のFBとして、世界に通じる連係を極める。

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気温35度に迫る暑さの秩父宮でも、松島は笑顔だった。最後尾で大粒の汗をかきながら、仲間へ的確に指示。相手キックからのカウンターなどで意思疎通が求められるナイカブラとは、ウオーミングアップから2人1組でコンビを組んだ。

「今回はボールを保持して、フィジーには簡単にボールを渡さない。自分に求められているランニングをしっかりやっていきたい」

期待される役割を理解する。途中出場だった1週前のトンガ戦。5点リードの最終盤、相手の同点トライ…かと思われたカウンターをタックルで阻止。窮地を救った。今回は3戦ぶりの先発FB。左足のロングキックが武器の山中に対し、スペースを突いて好機を演出できるのが松島だ。

フィジーBK陣は21年東京五輪7人制金メダリスト3人が先発するなど、多彩な個人技が脅威となる。簡単にボールを渡さず、保持しながら崩す戦術は、約1カ月後のW杯への試金石になる。

「圧倒的に攻撃のところを見られている。バックスリーでどれだけ走れるか。かなり面白くなってくる。しっかり走れる選手でチームを前に出したいと思う」

広いスペースと向き合うWTB、FBで構成されるバックスリー。今回の“相棒”は初のW杯を目指すフィジー出身のナイカブラとマシレワになった。

ともに急成長中で、今年の代表戦の7トライ中5トライを松島を含めた3人で挙げている。攻撃にたけた“3本の矢”。先発SO松田からも「僕が判断して球を送る。外のランナーがいいラグビーをすると思っている」と全幅の信頼を寄せられる。

4年前のW杯を上回る8強超えには、層の厚みはもちろん、選手起用にも多彩な選択肢が求められる。WTB出場もある松島は「自分たちのスタンダードを上げないと、W杯で勝てない」と言い切った。

代表50キャップ目の節目は、本番前の絶好の舞台となる。【松本航】