長期休養をへて新シーズンを迎えている樋口新葉(22=ノエビア)が今季3戦目のSPで68・09点をマークした。

会場に名前が呼ばれると歓声が上がった。冒頭のダブルアクセル(2回転半)を余裕を持って決めると、続くルッツートーループの連続3回転も降りきった。射抜くような視線に、顔のむき方1つにもこだわるような滑り。力強さを感じさせながら終盤へと持ち込んだ。最後はフィニッシュポーズ前のスピンの終わりにバランスを崩して転倒。苦笑も、大きな拍手がリンクに届けられた。

試合後には「スピンで最後に転んでしまって悔しかったですが、動きもよく表情もつけれたなと思います」と手応えを口にした。

昨季は、10月以降の試合を全休した。スケートから離れる生活も過ごした後に、今年4月に練習を本格的に再開し、7月に今季初戦、先月の東京夏季選手権で2戦目を終えた。迎えた今大会は目標に据える全日本選手権へ続く第1関門。「表彰台を目指している」と期していた。

休養を挟んだ今、以前とは違う心持ちがあるという。「1つ1つのことで焦らないでできるようになった。1つ1つこなしていく感覚が前にはなかった感覚」とした。失敗も含めて、目の前の事を確実にクリアしていくこと。「それを『余裕を持って出来る』という表現にできるように頑張りたいです」と先を見据えていた。