来夏のパリ五輪予選として開催される男子W杯バレーが今日30日、幕を開ける。日本代表(世界ランキング5位)は初戦のフィンランド(同28位)戦を翌日に控えた29日、会場の東京・代々木第1体育館で最終調整を行い、メンバー14人を発表した。女子代表が惜しくも逃した五輪本番前年の出場権獲得へ、チーム一丸となる。絶対的エース石川祐希主将(27=ミラノ)が、強い覚悟を語った。

   ◇   ◇

選手たちが、会場に姿を現した。1時間半の前日練習。運命のW杯バレーを前に緊張感を漂わせつつも、コートからは常にどこからともなく笑いが起こっていた。14人を束ねる石川主将は「しっかりチームは作れている。ここにいる全員で。練習の成果を発揮したい」と力を込めた。目標に掲げ続けてきた「誰が出ても勝てるチーム」になる準備は整った。

チームを指揮するブラン監督も、西田の肩をもむなど選手たちと積極的に接し、リラックスした表情を浮かべて言った。「アジア1位&世界ランク5位で、出場権の獲得プロセス的には非常にいいポジションにいる。この大会は非常なプレッシャーを感じながら戦う大会だとは思っていない。出場権へポジティブに挑む」。来年のパリでのメダル獲得を見据え、平常心でどっしりと構えて戦い抜く。

若い力も要所で送り出していくつもりだ。先月のアジア選手権でデビューしたばかりのセッター山本龍やチーム最年少の20歳甲斐らも選出。「当然、若い力や勢いが必要になるので投入していく」と、さらなる成長に期待を込めた。

今月中旬までの沖縄合宿では、個々の能力向上に着手。18日から始まった最後の東京合宿では、コンビの精度やチームの完成度を上げる練習を図った。日本で合宿を行っていたW杯プールC(中国)に参加するカナダ(同13位)と合同練習も実施し、海外勢の高さとパワーを常に体感。そのカナダとの国際強化試合(25日)も含め、対戦形式の練習も多く取り入れ、実戦感覚も養った。

アジア選手権以降は腰痛の影響で練習強度を落としていた石川は、この日は「特に問題ない」と言い切った。左のエース西田も「ギアが上げられた」、攻守の要、高橋藍も「誰が出ても強いのが日本のバレーの強み」と意気込んだ。ついに始まる今季最後の大一番。龍神NIPPONに死角はない。【勝部晃多】