女子で22年北京五輪5位の樋口新葉(22=ノエビア)が2季ぶりのGPシリーズの初戦を迎える。公式練習から応援するボードが掲げられ、「応援してくれている人はたくさんいるんだな」と感謝を感じながら滑ったという。昨年は10月以降の試合を休養にあてた。「海外試合の特有の緊張感みたいなものを感じる。それにのまれないように自分をしっかり保って滑れたら良いなと思います」と見定めた。

ショートプログラム(SP)、フリーともに自分の声を音源に吹き込んでいる。SPは息を吸い込む音だが、フリーは最終盤で歌声も。振り付け担当のシェイリーン・ボーンさんのアイデアを「皆さんと同じレベルで歌うのは好きなんですが、人に聞かせられるような声は出せません(笑い)」としながら受け入れた。

「誰もやったことないかな」。そんな思いが背中を押した。ケガもあり、気持ち的に前向きになれない時期が昨季だった。「精神的リフレッシュ」に努めての復帰シーズン。従来の成績重視よりも「どういうことをやったらいいのかなと考えながら試合に臨んでいる」。滑り自体で何を届けられるか。そんな事を念頭に、試合に出場する。

フランス杯は16年にGPデビュー戦で銅メダルを獲得した思い出深い大会。「テレビで見ていた選手と一緒に試合をすることできたし、試合の雰囲気、ホテルの感じも全部覚えてて。すごく印象的な試合でした」と振り返る声に明るさが宿った。それから7年、新たな樋口新葉の滑りを披露する。