【重慶(中国)=松本航】GPシリーズ2戦目の吉田陽菜(18=木下アカデミー)が64.65点を記録し、3位発進した。

冒頭の大技、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒。ルッツ-トーループの連続3回転、後半の3回転ループは決めて、テンポが上がる後半のステップシークエンスなども勢いよく滑り切った。フィニッシュポーズを解くと、悔しそうに口を結んで目をつぶった。「トリプルアクセルをショートとフリーでそろえるのが1つの目標。すごい悔しいんですけど、その他のものは冷静に落ち着いて出来た。他の部分は少し成長できたかな」と前向きな収穫も見いだした。

1つの前の滑走が地元中国の選手で、多くのぬいぐるみなどがリンクに投げ入れられた。演技直前の滑り込みの時に、それらを拾う小さなフラワーガールを見ながら、「頑張って集めているな」とほほ笑んだ。4位に入った第1戦スケートアメリカで同じような状況を経験済み。自身も小さい時に地元の名古屋開催だったGPファイナルで、選手の健闘をたたえる品々を拾う役割を担ったこともあった。「すごいかわいいな」と落ち着いて、演技に入れた。

昨季は国内でシニア、海外はジュニアとして転戦。今季から本格的にシニアへ転向した。スケートアメリカからの帰国後はジャンプだけでなく、スピードや表現力アップを目指して練習。中長期的な目線での強化も忘れず「1つでも上の順位を狙いたい気持ちはあるんですけれど、自分自身との勝負だと思う。自分に勝てるように、強い気持ちで臨みたいです」と矢印を自らに向けた。

フリーは11日に行われる。初めての中国で「終わったら火鍋が食べたいです」とほほ笑む愛知・中京大中京高の3年生。フリーは満足のいく演技で、大会後の楽しみにつなげる。