【重慶(中国)10日=松本航】世界選手権2連覇中でシーズン初戦の宇野昌磨(25=トヨタ自動車)が、今季世界最高の105.25点で首位発進した。新しいスタイルで表現面に重きを置きつつ、2本の4回転を含むジャンプ全3本を成功。第3戦フランス杯優勝で91.21点の2位シァオイムファ(フランス)に14.04点差をつけた。友野一希(上野芝スケートクラブ)は80.50点で6位、山本草太(中京大)は75.48点で8位。フリーは11日に行われる。

宇野が競技会の場に戻ってきた。3月の世界選手権以来の舞台。例年はGPシリーズまでに競技会に出ることが多かったが、今夏はアイスショーでの演技に注力。昨季終了後に掲げた「自分が満足できる表現者になりたい」という目標に向かい、競技会への準備も兼ねていたアイスショーへの向き合い方を変えた。

11月となったシーズン初戦。演技を終えた直後に感じたことを聞かれると、こう返した。

「割と何にも思わなかったです。特に『よっしゃ』というのもないし、『もっとここが』ってのもないし。もう振り返ってるというか。スピンもちゃんと出来てるかどうかは別として、スピン、ステップ、表現っていうのが、やろうとはしたなって。全然スピードもなかったんですけど、やろうとしたところに、そこは自分を褒めたい」。

前日の公式練習後にはこう言い切っていた。

「僕がそこまで結果というものに前よりも重視しなくなったからこそ、結果の良さで楽しみを見いだせるかというと考えにくい。もちろん日々の練習はやりがいを感じています。楽しいという部分があれば、今後もそれを求めて練習ができたり、競技に向き合っていけるんじゃないかなと思うので、何か『楽しいな』と思う瞬間があればいいと思いますし、単純に明日の試合で、自分がどんな心境になるのかは楽しみですね」

1つの演技を終えてみて、まだ答えは急がない。今は感じることが大事だ。

「ジャンプに関しては、これは競技に出てるのにそんなこと言ってる場合じゃないんですけど、ジャンプが良かったらいい演技、悪かったら悪い演技っていうのを皆さんはつけるのは全然構わないんですけど、自分の採点、自分に対する採点で、それをやめたいなっていうのは結構あるので。それに関しては今日はまずまずな演技だったっていう感じなのかな」。

例年とは異なるアプローチ。世界王者として臨む宇野のシーズンが始まった。