【重慶(中国)=松本航】ショートプログラム(SP)3位の吉田陽菜(18=木下アカデミー)が、逆転でGP初優勝を飾った。フリー1位139・32点で合計203・97点。シニア本格転向1季目の愛知・中京大中京高3年生が、シリーズ2戦上位6人によるファイナル(12月、北京)進出へ前進した。渡辺倫果(21=TOKIOインカラミ/法大)が合計203・22点の2位。日本女子のワンツーフィニッシュは21年NHK杯(1位坂本花織、2位河辺愛菜)以来2年ぶりとなった。

   ◇   ◇   ◇

渡辺らしい笑顔だった。得点が発表された瞬間。優勝の吉田に0・75点届かなかったが、明るい声でつぶやいた。「生きてて良かった~」。今季自己最高の203・22点での2位に「今できることの全てができた」と胸を張った。

昨季はトリプルアクセル(3回転半)を武器に、スケートカナダでGPシリーズ初出場初優勝。一気に世界選手権の舞台へ駆け上がった。ただ、この日は違った。強みを封印し冒頭は3回転半ではなく2回転半。1・18点の加点を得ると、全7本のジャンプを着氷させた。フィニッシュすると両腕を豪快に振り下ろし、喜びを表した。「良い集中力でできた。トリプルアクセルがなくても138点を出せた。自信につながる」と手応えをつかんだ。

10月のGPシリーズ・スケートカナダは6位。その後は体調不良に苦しんだ。昨季後半から思うように結果が出ない日々を「つらい1年」と振り返り、フリーの演目を前シーズンへ戻す選択までよぎった。ようやく見えてきた光。「戻さなくてもいいかな。全日本までに死ぬ気でトリプルアクセルをやっていきたい」。取り戻した自信を胸に、前を向いていく。