早大が100回目の「早慶戦」を制し、5勝1敗とした。

3勝3敗となった慶応大との定期戦通算成績は73勝20敗7分け。すでに対抗戦優勝の可能性が消滅している早大は、12月3日に明大との「早明戦」(国立競技場)に臨む。

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初めての定期戦が行われた1922年(大11)から101年(43~45年は戦争で中止)。伝統校が積み上げてきた歴史は、36年ぶりの国立開催で節目を迎えた。試合後、早大のFB伊藤大祐主将(4年=桐蔭学園)は「100回目という伝統ある早慶戦で慶応さんと素晴らしいファイトができて、すごくうれしかったです」とかみしめた。

先手を取ったのは早大だった。

前半4分、右サイドをロックの池本大喜(4年=早実)が突破。内側についたSH島本陽太(4年=桐蔭学園)にパスして、先制トライを挙げた。同10分には左ラインアウトからのモールでトライ。さらに20分にはFB伊藤が左サイドを駆け抜けてトライし、序盤でリードを21点に広げた。

慶大も意地を見せた。21点を追う23分にはSO山田響(4年=報徳学園)が相手防御裏にキックし、自ら捕って反撃のトライ。34分にはゴール前でFWがしぶとく体を当て、最後はフッカー中山大暉(3年=桐蔭学園)がインゴールへ飛び込んだ。主導権を握られた状況から7点差に迫り、前半を14-28で折り返した。

後半は再び早大が流れを引き寄せた。3分にフッカー佐藤健次(3年=桐蔭学園)が独走すると、左についた矢崎由高(1年=桐蔭学園)がパスを受けてトライした。慶大に攻め込まれる場面もありながら、最後までリードを守り抜いた。

前日22日には早大主将の伊藤が「『(毎年)接戦になる』と言われる。自分やチームのプレーに集中し続け、その結果として100回の節目に自分たちが勝ちたい」と誓い、慶大主将のプロップ岡広将(4年=桐蔭学園)も「早稲田は強い。だけど、勝てるかどうかを考える必要はない。勝つことだけを考えて戦いましょう!」と仲間を奮い立たせた。

試合後のピッチ中央。慶大のSO山田は涙を流して「こんな大勢の中でラグビーができたことが、ラグビー人生の中で最高の瞬間でした」と感謝した。いつの時代も変わらないライバル同士の真っ向勝負は、これからも続く。【松本航】