第1シードの筑波大が3連覇を目指した東海大を3-0のストレートで破り、4年ぶり9度目の優勝を飾った。春季&秋季リーグ戦に続く優勝で「大学3冠」を達成。日本代表アウトサイドヒッター(OH)の佐藤淑乃(4年=敬愛学園)が、苦しい場面でスパイクを打ち抜いてけん引した。

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筑波大優勝の立役者は、佐藤だった。第1セット(S)を先取して迎えた第2S。一時4点差を追う苦しい展開となったが「少しでも弱気になったらダメ」と自分に言い聞かせた。14-17の場面から、迷いなくバックアタックを連発。チームの4連続得点に結びつけ、一気の逆転でこのセットを奪取すると、第3Sも勢いそのままに押し切った。今大会「失セット0」の“完全優勝”。「チームとして成長できた」と安堵(あんど)感をにじませた。

熱望した一戦だった。東海大のOH宮部愛芽世(4年)は、昨年からともに日本代表で切磋琢磨(せっさたくま)。今夏のユニバーシティゲームズでは、ともに主力として銀メダルを獲得した。宿舎で同部屋になることもあり「お互いにしんどい時でも支え合ってきた」と認め合う。同じポジションのライバルとして、壁として立ちはだかってくれた戦友に「違うチームなのに仲間という感じ。ここまで来られたのも愛芽世がいたから」と感謝した。

人生で1度も成し遂げたことのなかった日本一。「絶対に取りたい」と決意を示していたエースが、「ただ仲がいいだけじゃなく、悪いところも言い合える」仲間たちとつかみ取った。学生最後の冬。栄冠の味をかみしめた。【勝部晃多】

○…宮部は3連覇で有終の美を飾れず、涙を見せた。「苦しい場面からのオフェンスで自分の甘さが出た」と、要所で決めきれなかったことを悔やんだ。それでも「バレーボーラーとして終わるわけではない」と強調。「今日の負けで落ち込むことはない。成長できる理由になった」と前を見据えた。筑波大・佐藤とは連絡を取り合い、励まし合う仲。優勝をたたえつつ「またこれから同じ舞台で戦うことになるので、2人で成長できれば」とうなずいた。

◇女子個人表彰

▽最優秀選手賞 大山遼(筑波大4年)

▽敢闘賞 宮部愛芽世(東海大4年)

▽優勝監督賞 中西康己(筑波大)