【ドバイ=奥岡幹浩】国内アマチュアボクシングを統括する日本ボクシング連盟が開発してきた次世代判定システムが、国際ボクシング協会(IBA)に採用される見通しとなった。9日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開催されたグローバル・フォーラムで発表された。

従来の各ラウンド10点満点で採点されていた方式から、有効なパンチを数える加点方式へと一新される。IBAのクリス・ロバーツ事務総長は「素晴らしい技術を用いたシステムだ」と絶賛し、「このシステムを導入できるイベントを検討している」と話した。ルールの根幹に関わる日本の提案事項が国際協会に採用されるのは初の快挙となる。

スピーチした日本連盟の菊池浩吉理事(59)は「ボクシング競技の尊厳を守ることと、選手ファーストであること。この2点を最大の目的としている。これはIBAが目指しているところと完全に一致している」とし、「最も分かりやすく、そして正確にモニタリング可能な重要な役割を果たすのがこのシステム」と世界にアピールした。

従来の判定判定では曖昧さも指摘されてきた。有効パンチ数による加点方式に変わることで、観戦する側にも明快さが提供されることは大きな利点となる。

IBAは現在、不適切な組織運営などを理由として、国際オリンピック委員会(IOC)から制裁を受けている。採点の公平性を高めることはIOCがIBAに要求している課題の1つであり、ボクシングが五輪種目として存続するためにも重要な案件となっている。菊池理事はフォーラムで、「五輪とボクシングは同じ歴史を過ごしてきた。私たちはIBAが五輪の統括団体に戻ることに対し、世界中の連盟と協力して達成していかなければならない」と力を込めた。

次世代判定システムは、ユニゾンシステムズ社などが開発してきた最先端技術が用いられる。4カ所に設置されたカメラから、最適な映像を瞬時に選択する人工知能(AI)も導入。これにより、採点の正確性について大幅な向上が見込めることになった。体操やフィギュアスケートのように、競技終了後に一定時間の間隔を経たうえで勝敗が決まる方式となる。

同開発は、IBAの主要関係者に随時報告を重ね、理解を得てきた。