9日のフリーで悲願のGPファイナル初優勝を飾った坂本花織(23=シスメックス)が現地で一夜明け取材に応じ、世界女王としての苦悩を明かした。

日本女子では浅田真央に続き、4大陸選手権、世界選手権を合わせた国際スケート連盟(ISU)主催の3大会での金メダル獲得を達成。GPシリーズからの連勝も「3」に伸ばし「達成できたのはめちゃくちゃうれしかったです」と明るい声を弾ませた。

昨季のGPファイナルはショートプログラム(SP)首位発進ながらも、フリーでミスが続き、総合5位に終わった。あれから1年。公言通りに頂点を射止め、夜は昨年と今大会のフリーの映像を見比べた。「昨日久々に見返したら、アクセルを跳ぶ前につまずいていて、地に足ついてなさすぎるぐらいにジャンプも不安定で。『こんなボロボロやったんや』とビックリして。その後にもう1回昨日のフリーを見て、成長したなって思いました」と進歩を実感した。

坂本はダブルアクセル(2回転半)をはじめとしたダイナミックなジャンプや安定感のある演技を武器とし、世界のトップに立ち続けてきた。そんな中、胸の内では「周囲からは『なんで(トリプル)アクセルも4回転(ジャンプ)もないのに世界女王やねん』と言われることもある」と葛藤を抱えていた。

「自分が一番分かっている。そんなに大技を見たければ、別に私の演技は見なくていいとも思う。そう言われるのは結構嫌だなと思います」

自ら切り出し、そう正直に打ち明ける。ただ、その苦悩を感じながらも、常に成長を求め続けてきた強さがある。今季はフリーで流れのある振り付けにも挑戦。

「まだまだ自分も成長の途中段階。ゴールしていないし、今季のプログラムもノーミスでできることが増えたけど、後半シーズンへ向けて良いものを作り上げていきたい」と余念なく強みを磨いていく。

目指すは全日本選手権(12月21~24日、長野)と世界選手権での3連覇。「今自分ができることを最大限やって戦うだけかなと思います」。自分自身の100%を出し切ること。目標達成へひたむきに進んでいく。

坂本花織、宇野昌磨らの「エキシビション写真特集3」はこちら>>

宇野昌磨、坂本花織らフィナーレで一斉にジャンプ!「写真特集5」はこちら>>