女子で岩佐明香(27=大林組)が逆転で国内開幕戦を制した。1回目92・5メートルで2位、2回目は93メートルでK点越えを2本そろえ、合計233・0点。2位と0・5点差で頂点に立った。逆転を狙った2回目、助走姿勢を修正し、結果につなげた。「優勝したいと思っていた。1本目2位でダメかなと思っていたけど、逆転できたのでうれしい」と笑顔を見せた。

大ケガからの競技復帰を目指す弟の分も競技に打ち込む。3歳下の勇研(24=東京美装)は8月の大会中に左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂した。今季絶望。現在はリハビリに励んでいる。岩佐が前回優勝した20年には、姉弟でアベックVを果たしている。この日は弟不在で寂しさはあるが「今はちょっとつらいと思うけど、とにかく自分と向き合える時間。大変だと思うけど、頑張って欲しいと思っている」とエールを送った。

21-22年はW杯開幕メンバーとして海外遠征していたが、2季連続で国内でシーズンイン。悔しさはあるが「日本で自分だけと向き合って練習できている」。女子は17日吉田杯との2連戦が、1月のW杯札幌大会の代表選考対象だ。「札幌W杯でトップ10を狙っている」と高らかに宣言していた。【保坂果那】

○…男子で22年北京五輪代表の佐藤幸椰(雪印メグミルク)が2位に入った。19-20年から4季連続でW杯開幕メンバー入りしていたため、本大会は17年以来6年ぶり出場。W杯2度の優勝経験者が国内でシーズンインを迎えたが「きっかけ1つでこういうこともあれば世界のトップで戦える競技。再チャレンジ、再スタート。強い気持ちで戦っていきたい」と前を向いた。

○…男子で小林朔太郎(23=群馬県連盟)が1回目5位からの逆転優勝を果たした。90メートル、92メートルで唯一のK点越えをそろえる安定さを見せた。今年9月に慶大を卒業。地元のスキー連盟を所属先にして、スポンサーの明治安田生命からのサポートを受けて活動する。「勝たなければいけないプレッシャーもある」と、結果を求める姿勢が社会人での初勝利につながった。