世界選手権2連覇中の坂本花織(23=兵庫・シスメックス)が成年女子ショートプログラム(SP)に臨み、国際スケート連盟(ISU)非公認ながらシーズンベストとなる79・66点をマークした。

冒頭で幅のあるダブルアクセル(2回転半)を降りると、3回転ルッツ、フリップ-トーループの連続3回転ジャンプも着氷。表現面などを示す演技構成点(PCS)では3項目で9点以上を記録した。苫小牧の会場に詰めかけファンから大歓声を受け、「年明けからトレーニングをしっかりして、調子も上がっていた。最後の3-3(連続3回転ジャンプ)までしっかりできた。(今まではPCSも)ショートで9点台に乗らなかったので、乗ったということでうれしいです」と充実感を漂わせた。

昨年末の全日本選手権3連覇を達成し、3月には世界選手権(カナダ・モントリオール)で3連覇を目指す。今大会に臨むにあたっては「出場しなくてもいいのでは?」という声も挙がったが、坂本には出場を強く希望する理由があった。「いつもはジャパンを背負ったり、シスメックスさんという所属先だったりで出ますが、兵庫代表で出ることができるのは年に1回しかない。すごく大事な試合」。この日も兵庫代表として、堂々と滑り切った。

29日には、カミラ・ワリエワ(ロシア)がドーピング問題によって4年間の資格停止などの処分が下されると発表された。スポーツ仲裁裁判所(CAS)は2022年北京オリンピック(五輪)期間中にドーピング問題が発覚したカミラ・ワリエワ(ロシア)に対し、4年間の資格停止処分を認める裁定を下した。これにより、ロシア・オリンピック委員会(ROC)の一員として獲得した北京オリンピック(五輪)の団体金メダルは取り消しとなり、銅メダルだった日本が銀メダルへと繰り上がる見通しとなっている。

22年北京オリンピック(五輪)団体戦女子フリーに出場した坂本は「素直にうれしいです。2年間待っただけはあったかなと思います」と率直な思いを吐露。「自分も思うことはたくさんありますが、自分自身がクリーンだとしっかり証明できるように」と語った。

北京五輪女子シングルで獲得した銅メダルは自宅に保管しているというが、団体戦でつかんだメダル自体は手元に届いていない。「自分は個人のメダルがあるだけいいですが、団体はみんなで取ったものなので、早くほしいなという思いがあります」と願った。【藤塚大輔】