ラグビーのリーグワン1部、BL東京(旧東芝)は1日、京産大のFWヴェア・タモエフォラウ(22=札幌山の手高)らの新加入を発表した。186センチ、123キロの巨漢プロップのタモエフォラウは、日本代表入りを熱望する。同じニュージーランド出身で、同僚となる高校の先輩リーチ・マイケル(35)と共闘し、リーグワン優勝と代表キャップ獲得を狙う。

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南半球で育ち、北の大地で「リーチ2世」と呼ばれたタモエフォラウが、先輩とともに戦うことが、決まった。早ければ大学卒業前の2月24日にも、リーグワンデビューを果たす。「東芝(BL東京)のスクラムを引っ張っていきたい」と力強く宣言した。

札幌山の手高の時から夢見た日本代表を現実にするため、大学4年でポジションをNO8からプロップに移した。今季の全国大学選手権は4強に進出。モールで押し込むプレーのキーマンになった。「NO8としてはスピードが足りないので、体重とパワーを生かせるプロップにした」。ポジション変更直後に、BL東京から声がかかった。

飛びかかるように走る姿からニックネームは「クマ」だが、6人兄弟の心優しき長男だ。来日の目的は「日本で成功し、自動車整備士として、苦労しながら育ててくれた父を楽にしてあげる」こと。実際に今後、BL東京から得られる収入で「妹が通う看護師学校の学費を支払うことを決めている」という。

寮で過ごした高校時代,当時の佐藤幹夫監督(62=現総監督)から受けた恩も忘れていない。日曜日は寮の食事が出ないため、毎週ハンバーグレストランやすし屋でごちそうを口にした。「とにかくすしがうまかった。あのころは、コンビニのおにぎりもすしと同じだと思って夢中で食べていました。先生には感謝しています」と振り返る。

大学では入学直後の新型コロナウイルス感染拡大で約4カ月の練習停止期間があった。大学3年の春には首を骨折し、一時は立てないほどの状態を懸命のリハビリで回復させた。「必ず日本代表になります」。巨漢プロップが、偉大なる先輩リーチと同じ道を駆け上がる。【中島洋尚】

◆ヴェア・タモエフォラウ 2001年11月5日、ニュージーランド・オークランド生まれ。5歳からバレーボールを始め、位置はミドルブロッカー。トンガ出身の父、サモア出身の母の影響で13歳からラグビーを開始。札幌山の手高ではNO8で2、3年時に高校日本代表候補入りし、チームは花園出場。京産大4年でプロップ転向。好物はすし。家族は両親と弟2人、妹3人。186センチ、123キロ。