レギュラーラウンド(RR)2位のサントリーが、RR首位のパナソニックにストレート勝ちし、2季ぶり10度目の優勝を飾った。激闘となった第2セット(S)を執念で上回り、37-35で奪取。主導権を渡すことなく一気に試合を決めた。2月には、すでにファイナルステージ進出を決めていた宿敵に連敗を喫し、頂点への意識を再確認。3連覇が懸かった決勝で完敗した昨季の悔しさも胸に、粘りの守備で栄冠をつかみ取った。最高殊勲賞(MVP)はセッターの主将、大宅真樹(28)が受賞した。

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サントリー大宅主将は、優勝をかみしめるようにうなずいた。「NO・1になれてうれしい」。潮目はセットカウント1-0で迎えた第2S。ジュースが繰り返される中、決して根負けしなかった。つかんだ10度目のセットポイント。相手のスパイクがアウトになり、42分に及んだセットをものにした。しびれるような競り合いを奪った勢いに乗り、一気に頂点に立った。

今季最も意識してきた相手だった。2月のRR。首位を争う直接対決で2戦連続のストレート負けを喫した。日本勢初の世界クラブ選手権銅メダル獲得後のまさかの完敗だった。

その翌週、山村監督から問われた。「世界クラブ3位になった時と今と、何が違うのか」。冷静に現在地を並べられた。練習への取り組み方、コート外での過ごし方。「満足してたわけではないけど、ある意味過信していたのかもしれない」(大宅)。ネット越しに見たパナソニックの1点への執着心。そこからは改めて宿敵を想定し、得点だけでなく、失点への意識も変わった。

この意識の変化が頂点への下地となった。相手エースのジェスキーを徹底マーク。24得点をマークした大砲のムセルスキーはアタックだけでなく、守備でも足や腕を目いっぱい伸ばしてボールを拾った。チーム一丸の執念の守り。リーグ随一の攻撃力を誇る相手のアタック決定率を46%に抑え、逆に自軍は守備から攻撃へとつなげて同54・1%をマーク。2カ月前は足りなかった執着心は、頂上決戦で相手を上回った。

Vリーグ最多の観客9544人がつめかけた。大宅は「終わらないでほしいと思うくらい幸せな時間でした」と笑い、金メダルを握りしめた。【竹本穂乃加】

サントリー・デアルマス(2月に日本国籍を取得し、チーム2位の16得点で優勝に貢献)「昨シーズンは緊張して悔しい負けをした。リベンジできてうれしい」

○…リーグ最多7人の日本代表を擁する“最強軍団”パナソニックは、最後の最後に涙をのんだ。コンディション不良で2月末からスタメンの機会がなかったエース西田は、第2Sの頭から登場。ジュースにもつれ込んだ終盤には再三スパイクを決めるなど奮闘したが、あと1歩及ばなかった。70%に迫るアタック決定率でチームトップ18得点を挙げた一方で、要所での6度のサーブミスが響いた。RRでは32勝4敗と圧倒的な強さを誇ったが、5季ぶりの頂点には届かず。「力を出せずに終わったのが、このチームの現状」と悔しさをにじませた。

◆表彰 ベスト6賞はオポジットにムセルスキー、アウトサイドヒッターにデアルマス(ともにサントリー)、ジェスキー(パナソニック)、ミドルブロッカーに小野寺(サントリー)、高橋(東レ)、セッターは最高殊勲賞の大宅が選ばれた。ベストリベロ賞は山本(パナソニック)が選出された。