富士通レッドウェーブ(レギュラーシーズン1位)がデンソーアイリス(同2位)に64-57で先勝し、16年ぶり2度目の優勝へ王手をかけた。司令塔の町田瑠唯(31)を軸に、林咲希、宮沢夕貴と21年東京五輪銀メダルメンバーが奮闘。持ち前の堅守速攻を武器に前半を36-32とリードして折り返すと、終盤に追い上げられたが、しのぎきった。2戦先勝方式で行われ、第2戦は同会場で14日に行われる。

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追い上げを許した終盤、富士通は経験豊富な3人で再び流れを引き寄せた。再び2点差に迫られた第4クオーター(Q)残り5分台、町田のドリブルを起点に宮沢を経由し、最後は林がふわりと浮かせるフローターシュート。鮮やかな連携でもう1度リードを広げると、持ち前の堅固な守備を繰り出し、重要な局面で相手のシュートミスを誘い続けた。テーブス監督は「今日はベテランのクロージング能力が良かった」。東京五輪銀メダルにも貢献した3人の経験値に感謝した。

司令塔の町田はチーム最多15得点、7アシストを記録するなど攻守で存在感を発揮。「シュートが入らない時間帯も守備でしっかり我慢して、自分たちのリズムに持ってくことができた」。富士通同様に3人の東京五輪メンバーを擁するデンソーに競り勝った。

16年前の優勝を知る選手は当然、1人も残っていない。13年前の入団時、富士通の初優勝シーンが収録されたDVDを贈られた町田は、その映像を何度も再生し、イメージを高めてきた。2年前を含め3度の準優勝を経験している司令塔にとって、悲願のリーグ制覇まであと1勝。「明日もタフな試合になる。全員バスケで戦いたい」。チーム一丸で頂点を目指す。【奥岡幹浩】