【米ボストン=松本航、藤塚大輔】日本男子が26年ミラノ・コルティナ五輪の出場3枠を確保した。5大会連続の最大枠。ショートプログラム(SP)2位の鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)が合計278・19点で銅メダル、初出場の佐藤駿(エームサービス/明治大)が270・56点で6位に入った。
日本男子上位2人の順位合計を3枠条件の「13」以内とし、将来を占う21歳コンビが任務を全うした。壷井達也(22=シスメックス)は、216・26点で21位となった。
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3本の指を立て、立ち位置を確認した鍵山が両手で顔を覆った。演技後のキス・アンド・クライ。最終滑走のマリニン(米国)を残し、暫定2位と分かった。
「メダルは正直、どうでもいいというか…全然考えていなかった。3枠が取れたかどうか、しか、頭になかった。申し訳ない演技をした」
過去3個の銀メダル。SP終了時点では首位と3・32点差で初優勝も狙える位置だった。それでも追い詰められ、周囲の関係者は「枠取りには魔物がいますね」と胸をなで下ろした。
苦しんだ4分間だった。冒頭の4回転フリップが「全然跳べる気がしなかった」と2回転に抜け、わずか2・01点。立て直しを図るはずの4回転サルコーは着氷が乱れた。頭は真っ白になり「心が半分折れかけた」と演技後半の4回転トーループ転倒。ステップやスピンで、1点でも多く稼ごうともがいた。
前回北京五輪の枠取りだった21年大会は、羽生結弦、宇野昌磨と出場。伸び伸びとした演技で初出場2位と躍進したが、もう2人は競技の場にいない。父の正和コーチも「突然何もできなくなる。跳び方が分からなくなる」と首をかしげる事態だった。
フリー10位の失速で、2連覇のマリニンと40・37点差をつけられた。日本のエースとして、銅メダルを喜べる立場ではない。五輪開幕まで1年を切り「この結果を素直に受け止めて、前に進んでいきたい」と言い聞かせた。3枠確保、4個目メダルの結果に隠れた“宿題”に、残りの時間で向き合っていく。【松本航】


