2020年夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会で7日行われた東京の最終プレゼンテーション。東日本大震災からの復興を目指す日本で五輪を開催する意義を懸命に訴える姿に、現地で見守る応援ツアーの人たちから「期待以上」との声が聞かれ、涙を流す人もいた。

 最初に登壇した高円宮妃久子さまは時折笑顔を交えながら、各国からの震災後の支援に謝意を伝えた。白い上着の久子さま以外は、濃い色のジャケットに五輪マークが入った青いネクタイやスカーフ姿。

 パラリンピック陸上の佐藤真海選手は、震災後に来日したスポーツ選手の支援が「子どもたちに希望と笑顔を与えた」と強調した。東京都の猪瀬直樹知事は右手でこぶしをつくるなど、身ぶり手ぶりを交えての熱弁。登壇者は全員が英語やフランス語でスピーチした。

 会場から約2キロ離れたホテルに東京招致委員会が設けた活動拠点では、応援ツアー客や招致委関係者ら約150人が大画面に見入りながら声援を送った。

 佐藤選手が義足を付けてパラリンピックに出場するまでの自身の経験に触れると、ハンカチで涙をぬぐう人も。東京都建設局の近藤俊輔さん(34=東京都北区)は「期待以上の、印象に残るプレゼンテーションだった」と笑顔で話した。

 この日のブエノスアイレスは土砂降りの雨。プレゼンターらが会場に向かう午前8時前には、約100人が日の丸の小旗を振って「東京」コールをしながら送り出した。