2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会内に設置された被災地復興支援連絡協議会が29日、都庁で初開催された。

 東日本大震災からの復興の後押しや、世界へ向けたアピールのため岩手、宮城、福島の被災3県と連携する。

 会合後、組織委の武藤敏郎事務総長が囲み取材に応じた。被災3県からの主な要望は各競技の事前キャンプ地の誘致に関するもので「今後、どのように決められていくのか、できるだけ早く教えてほしいとのことでした」と説明した。

 しかし、事前キャンプ地は全国で誘致合戦が繰り広げられる。武藤事務総長は3県に「優先的に特別な配慮をし、我々から参加国に要請することはできない。あくまでも参加国の希望による。その中で、できるだけ丁寧に(参加国に)情報を提供し、マッチングを図っていきたい」との考えを示した。具体的なマッチング開始時期は「(16年)リオ五輪が終わってから」とした。

 福島第1原発から約20キロの場所にあるJヴィレッジの議題もこの日、上がった。昨年7月まで原発事故の対応拠点となっていたため現状、スポーツ施設として使える環境にないが「福島県から話がありました。いずれ、ぜひ活用して欲しいとのことでしたが、現時点で具体的に話が進んでいるわけではありません」と話した。

 聖火リレーについても被災地を配慮した計画を求められた。武藤事務総長は「かつては聖火をいくつかに分けてリレーしていたが、現在のIOCの方針では『分火』はしないで、一筆書きでリレーするようになっている」と、複数コースは難しいとし、「IOCの承認は1年前の2019年がギリギリのタイミング。まだ時間的にはゆとりがある」と、余裕を持って計画を練る意向を示した。

 また、ひとめぼれスタジアム宮城(利府町)でのサッカーだけが被災地で行われる東京五輪計画だが、他競技の被災地開催について、3県からの要望はなかったという。