スピードスケートで冬季五輪2大会連続出場の妹尾栄里子(29=王子製紙)が28日、今季限りでの引退を表明した。2月24日に行われた全日本選抜を最後に、競技から退くことを決めた。25年間の競技生活を「小さいころからの夢だった五輪に出て、緊張感や達成感を味わえた。悔いはまったくない。今は終わったなぁという感じです」とすっきりした表情で振り返った。

 06年トリノ五輪出場後、10年バンクーバー五輪を目指してきたが、昨季、今季とW杯代表を逃し、世界の舞台から遠ざかっていた。「五輪で満足している自分がいた。1年1年やって気持ちが上がってくればと思ったが、次の五輪まで考えることができなかった。ダラダラやりたくなかったので区切りをつけた」と引退を決断した。

 中長距離の第一人者として活躍し、02年ソルトレークシティー、06年トリノと2大会連続で五輪に出場した。華々しい経歴の中、波乱も多かった。02年に王子製紙、06年にはアルピコと、2度にわたり所属先のスケート部が廃部となった。しかし06年は王子製紙が社員として受け入れてくれたため、競技を続けることがきた。「大変だったけど感謝の競技生活です。最後も王子製紙さんが助けてくれて、そこで終えることができた」と周囲への思いを口にした。

 今後は会社に残るが、スケートにはかかわる予定はない。「小さい子供を教えたりはしてみたいけど、コーチとかは考えてない。スケート人生で学んだことを、今後に生かしていきたい」と新たな人生に向けた。【松末守司】