<柔道:全日本選抜体重別選手権>◇最終日◇13日◇福岡国際センター

 女子52キロ級は中村美里(23=三井住友海上)が「頂上決戦」を制して2大会連続の五輪代表に決まった。世界ランク2位で昨年の世界選手権金メダリストは、決勝で同1位の西田優香(了徳寺学園職)と対戦。延長の1分58秒に横四方固めで一本勝ちし、熱戦に終止符を打った。「勝ってすぐに喜べないんですけど、ロンドンでは笑えるように頑張ります」。周囲に「笑わない中村」と言われる女王は、3連覇にも真顔で口元を引き締めた。

 1枚の切符を激しく争った西田とは、合宿中にキャッチボールをするなど大の仲良し。一方で10年世界選手権や1月のマスターズ決勝で敗れた強敵。「西田さんがいなかったら、それまでの自分でいいと思っていた。技も少なかったし、体も鍛えられた。今の方が強くなりました」。西田とは試合後に歩み寄り「ありがとう」と握手。感謝で瞳を潤ませた。

 北京五輪では銅メダルだった。「平成生まれ初のメダリスト」の称号ではなく、悔しさだけが残る。「金しかないです。西田さんの分も、という気持ちはあります」。畳の上では鉄仮面。でも、実はお笑い動画を見るのが大好き。大会前に切った髪形に「ちびまる子ちゃんみたいと言われるんです」と頬を赤らめながら、中村はニコリと笑った。【近間康隆】