女子柔道日本代表の新監督に、田辺勝コーチ(40)の昇格が確実になった。全日本柔道連盟の強化委員会は辞任した園田隆二前監督(39)の後任の人選を進めていたが、13日までに2月の欧州遠征で監督代行を務めた田辺コーチの昇格に一本化。今日14日の専門委員長会議で協議され、18日の理事会で正式決定する。

 田辺コーチは園田前監督らと女子代表を指導。今回の事件では前監督らとともに、戒告処分を受けた。しかし、田辺コーチの暴力はなく、一緒に戒告となった女性2コーチとともに全柔連も「連帯責任」としたことを反省。上村会長も「謝罪する」と全面的に非を認めて撤回は確実で、昇格に最大の障害はなくなる。

 昇格の裏には、欧州遠征で採用された新ルールもある。「新しい柔道」(上村会長)を指導者として体験したのは、田辺コーチらだけ。強化の継続性からみても、3人は不可欠。前監督辞任で動揺する選手を精神面でフォローした功績も大きい。性格は温厚で、柔道に対する姿勢もまじめ。何よりも多くの女子選手が信頼を寄せている点で、新監督として最適といえる。

 第三者委員会の答申には「女性監督の登用」があったが、現実的には難しい。斉藤委員長は「女性指導者の育成もしていきたい」と明言し、将来の女性監督就任を示唆した。しかし、告発を支援した山口香氏ですら「時期尚早」と話すほど適任者は見あたらない。

 斉藤委員長はこの日「まだ何も決めていない」と話したが、今日14日の専門委員長会議では田辺コーチ昇格案が議論される見込み。認められれば18日の理事会で正式決定し、25日からの女子強化合宿は新体制で行われることになる。女子柔道の再建を託すのは、田辺氏のほかにはいない。

 ◆田辺勝(たなべ・まさる)1972年(昭47)12月16日、高知県生まれ。6歳から柔道を始め、高知・中村中卒業後に上京し、柔道の私塾・講道学舎入り。世田谷学園高時代には、86キロ級ながら高校選手権無差別級優勝。日体大2年で世界ジュニア優勝も、五輪、世界選手権の出場経験はない。現在は日体大准教授。

 [2013年3月14日8時48分

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