<卓球:世界選手権>◇第3日◇15日◇パリ◇女子シングルス1回戦

 愛ちゃんが初戦で消えた。女子シングルス1回戦で、世界ランキング12位の福原愛(24=ANA)が同166位の朴晟恵(韓国)に2-4で敗れる波乱があった。6度目の出場で、同種目の初戦敗退は初めて。10年前に世界大会デビューを果たし、シングルス8強入りしたパリで、まさかの結果となった。

 ラケットをしまうと、福原は足早にコートから離れた。第1ゲームを11-4で先取したところまでは、プラン通りだった。しかし、徐々に相手が戦術を変え、福原のバックやミドルに大きなサーブを入れてきた。攻めきれないままに第6ゲームまでもつれると、最後はレシーブをネットにかけて6-11で終戦した。「相手の情報がなくて、準備不足だった。少し緊張していて、足がいつもより遅くなってしまったことが、敗因だと思う」と話した。

 10年前、14歳で初めて出場した世界選手権がパリ大会。今大会と同じ体育館だった。女子シングルスで8強に進出し、スタンディングオベーションを受けた場所でもあり、周囲の期待を一身に受けていた。「少しプレッシャーが大きすぎたかな。打ち勝てなかった自分の責任です。1人でコートに立ったら、冷静に戦えなかった」。

 昨年のロンドン五輪団体で銀メダルを獲得し、世界選手権出場も団体と合わせて10度目。経験を積んでいる福原でも「五輪とは全く違うプレッシャーだった」と明かした。会場を引き揚げるとき、右膝にはアイシングをしていた。シングルス、女子ダブルス、混合ダブルスと3種目に出場するため、練習量も増える。会場内にある練習場はアイスリンクを改造したもので通常の床より硬く、膝への負担が大きい。それでもサポーターはせず、痛いそぶりも全く見せなかった。

 大会すべてが終わったわけではない。「まだダブルスがある。気持ちを切り替えて、頑張ります」。自分に言い聞かせるように話した。【パリ15日=保坂恭子】