<高校ラグビー:大阪朝鮮高32-10流通経大柏>◇準々決勝◇3日◇花園

 大阪朝鮮高(大阪第1)がAシード対決を制して、2年連続で準決勝に進出した。勢いづけたのはロック南宗成(ナム・ジョンソン=3年)だ。10-10の同点に追いつかれた直後の後半10分。ゴール前ラックからのパスを受けると、左中間へ勝ち越しのトライを挙げた。

 「うちのチームのモットーは、超攻撃ラグビー。ボールを持ったらひたすら前へ行って、トライすることを考えていた」。

 186センチ、92キロの巨漢ロックは、後半15分と29分にもゴールへ突進して計3トライ。見守った呉監督は「いいポジショニングで、立て続けに取ってくれて良かった」と目を細めた。

 友のために負けられなかった。2回戦福岡戦でエース、CTB権裕人が脳振とうで倒れ、規定により今大会での復帰ができなくなった。中学入学後に知り合い、現在は同じクラスの友の無念さは、誰よりも分かった。ハーフタイムに権から「暴れてこい」とゲキを飛ばされ、試合後は「ナイスゲーム、ありがとう」と声を掛けられた。

 もう1人、勇姿を見せたい人がいた。大阪朝鮮高ラグビー部OBの父龍基さん(48)だ。父の高校時代は、まだ朝鮮学校が全国大会へ出場することはできなかった。「自分が出るときは、お父さんの分までしっかり暴れようと思っていた」。スタンド観戦していた父の話になると、南は目を潤ませた。

 準決勝の相手は、昨年同じ舞台で敗れた桐蔭学園。プロップ金寛泰主将は「燃えますね。めちゃくちゃ、やりたかった」と因縁の対決に闘志を高めた。エースが抜けても、頼もしい仲間がいる。初の決勝切符を懸けて、2年越しのリベンジに挑む。【木村有三】