1976年(昭12)の第19回大会以来、79大会ぶり6度目の出場となる早実(東京第1代表)。初戦は28日名護(沖縄)と対戦する。

前回出場時は「全国中等学校ラグビー大会」という名前で甲子園南運動場で開催されていた。早稲田実業中学校として出場。当時の参加チームは全12校、早実は京都一商(現西京)に3-19で敗れた。加藤進部長によると、前回の出場時を知る関係者はいないという。加藤部長は「もう、誰も知らないので実際には初出場みたいなものですね」と語った。

チームの指揮を執るのは、就任5年目の大谷寛ヘッドコーチ(41)。久々に来た母校で感じたのは、個の能力は高いのにチームとして勝てないことだった。当時は高い目標を設定しても選手の意識とかけ離れていた。そこで「ワセダ」の強みである「系列」を生かして早大からコーチを招聘(しょうへい)。食事管理や身体のケアを徹底、小さな体でもケガをしなくなったという。大谷HC本人も普段はJスポーツのプロデューサーをしており、指導する日は限られており、仕事の忙しい週末などは社会人OBなどが練習に来てくれるという。

チーム強化が実を結び、前回、前々大会は東京予選決勝まで進んだ。今年こそ、と挑んだ新人戦も春の大会も国学院久我山に敗戦。「久我山に勝って花園へ」を合言葉に練習を積んだ。決勝では「久我山対策」がはまった。能力が高くフィジカルの強い相手に対し、2人がかりで対応した。終わってみれば6トライを奪い、43-19で完勝。大谷HCは「練習以上のものが出た。こんなにできるんだ」と選手の伸びしろを感じたという。

早大でラグビーをしていた大谷HC。母校・早大は22日の大学選手権準々決勝で慶応を破り、一足先に「年越し」を決めた。「ラグビー人にとって年を越すというのは1つのステータス。自分も(大学時代に)できなかったので、両方で達成したい。先には負けられないですね」と語った。

前回覇者の東海大仰星(大阪)、国体優勝の御所実(奈良)、最多67回出場の秋田工、そして早実が破った昨年8強の国学院久我山など強豪が地方予選で敗れる波乱が起きた。何かが起こりそうな平成最後の大会。清宮(現日本ハム)・野村を擁して甲子園を沸かせた野球部のように、ラグビー部が花園を盛り上げる。【松熊洋介】