南北海道代表の札幌山の手が熊本西を27-19で破り、5大会ぶりに初戦を突破した。2点を追う後半に平均体重93・6キロの大型FW陣の突破から、2トライを挙げて逆転で白星をつかんだ。花園通算10勝目を挙げた勢いで、30日の2回戦でBシードの強豪・中部大春日丘(愛知)と対戦する。

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やり返した。後半10分。札幌山の手フィフティーンは取っ組み合いに打ち勝った。敵陣中央10メートル付近でモールを形成すると、強力FW陣が一気に押し込んだ。最後はSH鈴木大気(3年)が逆転のトライ。佐藤幹夫監督(57)は「前半は警戒していたモールから展開されたが、よくそのモールでトライを取り返してくれた」とねぎらった。

前半ロスタイムにモールから一時逆転を許した。繁松秀太主将(3年)は「対策はしていたが予想をはるかに超えるモールだった」。平均体重で0・5キロ重い相手FW陣に押し込まれた。それでもひるまない。「相手がFWでくるなら、自分たちもFWでいく」。負けん気の強さで相手の戦意も粉砕し、8点差で勝ちきった。

自信があった。大会直前の福岡遠征では6度優勝の東福岡と10分3本勝負で引き分けた。就任31年目の佐藤監督も「FWはかなり良い。対戦した監督からは『驚いた』と言われる」と手応えがあった。昨年、花園を逃した。指揮官は「去年の敗戦から得たことが大きかった。コミュニケーションを取る力がついたのが大きい」。

昨年7月に伊藤允晴コーチが前日本代表エディー・ジョーンズ氏の講演に参加。コミュニケーションの大切さを選手に伝えた。1年かけて戦術の理解が浸透。この日のハーフタイムも佐藤監督は「モールからもっとバックスに展開させろ」と指示したが、選手は試合状況を即座に理解。「相手の速さにつめられる」(繁松)と即座に肉弾戦に切りかえたが、誰も迷う選手はいなかった。

30日の2回戦は、過去8度、壁になってきたシード校とあたる。「破って正月を迎えたい」と繁松。シード校ではない1度も含め“10度目の正直”で、悲願の2回戦突破を目指す。【浅水友輝】

◆北海道勢の花園勝利数 出場37度で4度の準優勝を誇る北見北斗が最多34勝で、2桁勝利は今回10勝目を挙げた札幌山の手で2校目。ほか函館大有斗が6勝、函館北(現函館)が4勝、遠軽と北海が3勝をマーク。計16校が白星を挙げている。