野球部に負けないスターあり! 前回準優勝で悲願の初優勝を目指すAシードの大阪桐蔭が、14トライで6大会連続16強入りを決めた。2年ながら高校日本代表候補で178センチ、107キロの大型フランカー奥井章仁が前半30分間だけの出場で大暴れした。

背番号6はピッチ上で常に圧倒的な存在感を放った。5-0の前半4分、自陣でボールを持つとぶちかまし、5人を引き寄せながら大きく前進。107キロで50メートル走6秒8のパワーをフルに発動し、味方のトライの起点になった。次は左タッチ際で相手防御裏へのキックに反応したかと思えば、別の攻撃で最初の受け手となってSOばりのパス。同16分には自らトライも決め「今年は自分もチームの中心にならないといけない」と自覚をにじませた。

前回大会は東海大仰星(現東海大大阪仰星)との決勝で1年ながらフル出場。20-27で日本一を逃すと大声で泣きじゃくった。大阪・枚方市生まれで、同市内の東海大大阪仰星までは自転車で20分。楠葉中では「頭の中は仰星」だったが、大阪桐蔭を率いる綾部監督の誘いを受け「花園でまだ日本一になっていない。自分が出てなりたい」と、大東市にある大阪桐蔭を選んだ。

校舎内では1学年上の野球部で甲子園春夏連覇を果たした、中日ドラフト1位根尾らを見かけては「あぁ…」。全身からオーラを感じながらも「すごく刺激になる。野球部に負けたくない」と言い切る。1年前に100キロだったベンチプレスは120キロとなり、朝400グラム、昼700グラム、夜700グラムの白米を頬張る「食トレ」も継続中。「体重は変わらないけれど、筋力がついた」と蓄積は自信となっている。

元日の3回戦は玉島(岡山)戦。超高校級フランカーは「悔しさを晴らすのは花園しかない。うれし涙を流したい」と頂点に立つまで暴れ回る。【松本航】

◆奥井章仁(おくい・あきと)2001年(平13)9月17日、大阪・枚方市生まれ。小1から枚方ラグビースクールで競技を始め、楠葉中、大阪桐蔭とFW一筋。最近は母千春さんの配慮で食事の「おかずの質が変わった」と、鶏料理などで体作り。憧れは同校OBのNO8中野光基(帝京大1年)。家族は両親と姉1人。178センチ、107キロ。