韓国出身でラグビー日本代表プロップ、具智元(25=ホンダ)の恩師の染矢勝義氏(51)が7日、愛弟子へ感謝の言葉を贈った。

大分・日本文理大付高で具を指導した染矢氏は5日のサモア戦(愛知・豊田スタジアム)を具の両親と観戦した。FW最前列で、スクラムを力強く押す姿に感銘を受けた。

「デニー(呼び名)が世界の舞台で仲間と必死に戦ってる姿を見て涙が止まらなかったです。目が腫れっぱなしでした。改めて、ともに時間を過ごせて良かったなと感じました」

隣に座った元韓国代表で「アジア最強プロップ」と呼ばれた父の東春さんは、スクラムの場面になると腕組みをして注視。ともに、「これは組み勝ったな」などと“スクラム談議”に花を咲かせた。

試合後、劇的勝利に感極まった染矢氏は、客席最前列で涙いっぱいの黒タオルを具に投げたら「サ、サインですか!?」と愛らしい笑顔で返却された。「(8強まで)あと1勝だ。タオルで汗をふけ!!」と、恩師は必死に涙をこらえてタオルを手渡した。

高校がある大分県佐伯市では「予想以上」の盛り上がりを見せているという。佐伯港にある魚市場では試合日にパブリックビューイング(PV)を実施し、300人超が海鮮を食べながら具へ大声援を送った。JR佐伯駅から高校までの数百メートルの道路脇には、花が植えられた大量のプランターが設置された。「具選手、夢をありがとう」「感動をありがとう」などとメッセージも添えられているという。

染矢氏は「デニー含めた日本代表の選手たちが子供たちにパワーを与え、その子供たちから僕らがパワーをもらっている。スポーツの力は本当にすごいなと実感した。こんな貴重な経験をさせてくれたデニーに『ありがとう』と言いたい」と、感謝の気持ちを伝えた。