2度の優勝を誇る南アフリカが、ウェールズに19-16で競り勝ち、イングランドとの決勝(11月2日、日産スタジアム)に進んだ。

前半は一進一退の攻防が続き、PGのみで9-6で折り返した。16-16で迎えた後半35分、SOポラードが決勝PGを決めて3点差で振り切った。通算対戦成績は南アの29勝6敗1分けで、W杯では3戦全勝となった。

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執念で勝った。南アフリカが、3点差の紙一重の戦いを制した。勝利が決まった瞬間、選手らは仲間と抱き合い、喜びを分かち合った。約6万7000人の大観衆から拍手が鳴りやまない。フランカーのコリシ主将は「大事なところで強みが出た。あと1勝して、国へ良いニュースを届けたい」と胸を張った。

前半からSHデクラークが起点となって、ハイパントキックを蹴り上げた。200センチ超の大型選手をポイントに殺到させたが、トライにつながる好機を得られなかった。後半17分、CTBデアレンデが相手4人を引きずるように左隅へ、この日初トライを決めた。その後、16-16の同点となった。残り5分。ポラードが約35メートルPGをど真ん中に蹴りこみ、勝負を決めた。

エラスムス監督は「最後の数分は祈るような気持ちだった。選手たちが本当によくやってくれて、幸運も来た。チーム一丸となってプレーできた」と話した。

「ポケットロケット」こと快足WTBコルビが足首の不調でメンバーを外れた。それ以外は控えメンバー含めて日本戦と同じ。FW6人とBK2人とFW重視の構成にした。15年大会以降、低迷期が続いてウェールズに4戦全敗。昨年3月からエラスムス体制になり原点回帰した。伝統のフィジカルを前面に押し出すスタイルを貫き、V字回復した。26日には、ラマポーザ大統領からチームに電話があり、団結力が高まった。

決勝は、「絶対王者」のニュージーランドを破ったイングランドと対戦する。優勝した07年大会と同じカードだ。南ア初の黒人主将は「ラグビーで国が一丸となり、国民に感動を与えたい」と切望した。世界最強のフィジカルモンスターが、3大会ぶりのタイトル奪還を狙う。【峯岸佑樹】