新潟工が16大会連続44回目の優勝を決めた。北越に19-12で競り勝った。

得意のFWで押し込む形に持ち込めない展開の中、バックスで3トライを挙げてリード。後半の北越の追い上げをしのいだ。新潟工は全国高校大会(12月27日開幕、東大阪・花園ラグビー場)に出場する。

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ほっとしたような表情で新潟工フィフティーンは観客席にあいさつに向かった。「優勝したんだから、もっと笑いなさい」。樋口猛監督(47)の言葉にも遠慮気味に笑みを浮かべた。

苦闘だった。北越のプレッシャーを受け、自慢のFWが押し切れない。モールでインゴール持ち込む伝統の形は1度もなかった。主将代行のNO8稲村心(2年)は「チャレンジしてきたモールで押せなかった」。一方で「その分、バックスがチャンスで取り切ってくれた」。

前半7分にラックから展開しWTB古川月葵(2年)が先制トライ。前半終了間際にはモールから離れたSH豊崎陸(3年)が決めた。後半25分のチーム3トライ目は崩れたモールから展開し、WTB井村凜(2年)が奪った。「FWが押せない時はバックスで立て直す」と豊崎。FWが封じられてもバックスでリズムを作る底力を見せた。

W杯で8強入りした日本代表プロップ稲垣啓太(29)の母校。日本の8強がかかったスコットランド戦前に部員34人の稲垣への応援メッセージ動画をSNSに投稿した。先輩に負けないたくましさで獲得した花園切符。「もっとレベルアップして花園のピッチに立ちたい」。稲村はすぐに次の目標に視線を移した。【斎藤慎一郎】