<東都大学野球:国士舘大1-0青学大>◇1、2部入れ替え戦最終日◇8日◇神宮

 12度の優勝、4度の大学日本一を誇る青学大(1部6位)が、84年秋から51季守り抜いてきた1部から転落した。昨夏の甲子園優勝投手・福島由登(1年=大阪桐蔭)が国士舘大(2部1位)相手に好投したが、連敗した。87年就任の河原井正雄監督(55)は初の2部転落となる。

 青学大の悲痛な叫びが、30季ぶりの1部昇格を祝う歓喜の声にかき消された。ゆっくりとベンチを出た河原井監督は、国士舘大に一礼して、ベンチ裏へと消えた。84年春以来、52季ぶりの2部降格。戦国東都に確かな一時代を築いた青い軍団が、1部から姿を消す。

 3勝8敗で最下位に沈んだ今季を象徴するような戦いだった。1回1死一、二塁、2回2死満塁と序盤のチャンスを生かせない。河原井監督は「前半に点を取れなかったのが敗因」と顔を紅潮させた。

 今季のリーグ戦11試合で最多得点は4点。チーム打率は1割9分2厘に沈んだ。今春3勝を挙げ、防御率2・06だったエース垣ケ原は1勝4敗、防御率4・06まで落ちた。エース防御率が最多得点を上回り、最後まで投打がかみ合わなかった。この日の先発メンバー9人中6人が左打者。国士舘大の3番手左腕・樋口には4回無安打に封じられた。河原井監督は「右投げ左打ちばかり並んで、左ピッチャーに苦しんだ。投手陣も崩れた。そういう形にしてしまった僕に責任がある」と敗因を背負い込んだ。

 ソフトバンク小久保、ロッテ井口らを輩出し、現在も20人以上のOBが現役プロとして活躍する。05年春からはヤクルト高市、巨人円谷らを擁し、3季連続優勝の黄金時代を築いた。87年に就任した河原井監督にとっては初の2部降格。07年に大学日本代表監督に就任し、昨夏の世界大学野球選手権で銀メダルを獲得した。今春からチームの指導に専念した矢先だった。

 今季の東都は、立正大が創部61年目で1部初優勝を飾るなど予想外の展開の連続。青学大は来春の2部リーグで、日大、駒大などの名門と1部昇格を争うことになる。河原井監督は「今は負けたばかりで、何も考えられない」と来季については何も語らなかった。最後は自ら会見を打ち切り、足早に神宮を去った。【前田祐輔】