佐渡島からプロ大注目の怪腕が現れた。佐渡・菊地大稀(たいき)投手(3年)がプロ8球団のスカウトの前で、自己最速を更新する143キロをマーク。7安打5失点(自責2)ながら東京学館新潟から10三振を奪い、公式戦初完投を勝利で飾った。

 一冬越えて成長した大器を見るため、ネット裏に8球団のスカウトが集結した。佐渡・菊地は「初回は100%で入れと言われている」と、自己最速を1キロ上回る143キロの直球を軸にスタートした。ところが2死二塁から、4番鈴木里希也捕手(2年)に2ボールから一本調子に投げた直球を1度は逆転被弾。2回からは「打者を見て、力をセーブしながら」と7、8割程度に抑え、勝負球をスライダーに変えて三振の山を築いた。

 5回に3点を返されたが、2失策に野選と内野陣のミスが重なったもの。6回以降はイニング平均12球に抑え、「練習試合で完投はあるので、スタミナ的には心配なかった」と138球を投げ抜いた。「ストレートは走っている感覚がなく、変化球でストライクと空振りを取れた」と自己採点は70点。宮木洋介監督(32)は「完投させるつもりはなかったが、試合展開が不安定だったので、代える勇気がなかった」と、エースに最後まで任せた。

 ネット裏には巨人、中日、阪神、楽天、日本ハム、ロッテ、西武、ソフトバンクのスカウトが陣取った。楽天は長島哲郎スカウト部長との2人態勢で視察し、携帯したスピードガンで143キロを確認。担当の山田潤スカウト(45)は「楽しみな素材。伸びしろを感じる投手です」と評価した。

 昨オフはウエートトレーニングで下半身と背筋を鍛え、一冬で体重は8キロ増の80キロ、身長も1センチ伸びて185センチに。「体の力強さを感じる。球に力が伝わるようになった」と最速も昨秋の137キロから、コンスタントに140キロを計測する。県NO・1クラスに躍り出た右腕から、目が離せなくなった。【中島正好】