海を渡る日本人アマチュア選手たちが増える中で、「ゴールドラッシュ」と化す市場をさまざまな視点で捉える連載拡大版。第2回は「過去」に焦点を当て、MLBのマイナーでプレー経験のある明大の西嶋一記投手コーチ(37)に現役時代を振り返ってもらった。

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西嶋投手コーチは「日本のアマチュアトップレベルの環境で野球を学んだことに加え、アメリカで全く異なる野球観に触れたことは、今指導する立場となって考えた時に引き出しを増やしてくれた」と実感している。

明大から2010年(平22)11月ドジャースのマイナーと契約。米国時代は「過酷なバス移動や食事環境、ハングリーなチームメートとの生活など、日本にいたら絶対に分からなかった世界を見ることができた」と振り返り、日本でプレーした時には感じたことのない圧倒的なパワーに驚かされた。「本当の距離感はプレーした人にしか分からない。そんなに甘くないよというのが本音ですから、大谷選手が今どれだけ異次元なことをしているのかも感じています」。

当時のドジャースにはマニー・ラミレスや黒田博樹、さらに昨季限りで現役引退したクレイトン・カーショーらが在籍。マイナー時代のチームメートも豪華で後にレンジャーズで23年ワールドシリーズMVPに輝いたコーリー・シーガー遊撃手、ワールドシリーズ2度制覇のジョク・ピーダーソン外野手、そして元ヤクルト投手のマクガフらと切磋琢磨(せっさたくま)した。横浜、明大で鍛えた基礎技術や戦術面は十分に通用した一方で「今までやってきた野球は何だったんだと思うほどのカルチャーショックでした。100マイルを投げる選手がざらにいて、同世代の選手の身体能力や飛距離、ボールの変化には度肝を抜かれました」。世界中から集まってくる同世代の選手たちとしのぎを削った3年間が、後のキャリアに与えた影響は計り知れない。【平山連】

◆西嶋一記(にしじま・かずき) 1989(平元)年2月28日生まれ、横浜市出身。横浜では06センバツ優勝メンバー。明大では3年秋に東京6大学リーグ最優秀防御率となり、通算31試合で6勝5敗、防御率1・97。4年秋の10年NPBドラフトでは指名漏れを味わうがその後、ドジャースとマイナー契約。帰国後は独立リーグの熊本ゴールデンラークス、社会人のSUBARUでプレーし、引退後は社業のかたわら現在は明大硬式野球部の投手コーチを務める。