<高校野球沖縄大会>◇20日◇1回戦

 第91回全国高校野球選手権(8月8日から、甲子園)の沖縄大会が、全国のトップを切って開幕した。「沖縄のダルビッシュ」の異名をとるプロ注目の浦添工の右腕運天ジョン・クレイトン(3年)が八重山農林戦で7回を2安打無失点に抑え、自己最速となる147キロをマークした。ロッテ大嶺祐太投手(21)の弟、八重山商工の翔太(3年)は左足の負傷を抱えながらも2安打1打点で初戦突破に貢献した。

 端正な顔立ちは日本ハムのダルビッシュとイメージが重なる。浦添工・運天が八重山農林を7回2安打無失点に抑え、甲子園に向けて好スタートを切った。6回までは1人も走者を許さない完ぺきな内容にも「今日は調子は上がってきたけど、全然ダメでした。変化球が全く入らなかった」と、不満げな表情を浮かべた。

 立ち上がりから直球主体でリズム良く投げ続けた。3回には自己最速を2キロ更新する147キロをマーク。2回には3者連続三振を奪うなど、相手打線を全く寄せつけなかった。チームメートや大川基樹監督(37)から「達成できるかどうかやってみろ」と言われていたが、7回に2安打を許し記録は逃し、その回で降板。それでも「チームが勝てばいいので別に気にしません」と涼しい顔だ。

 米空軍に所属する父ジョン・マイケルさん(38)の影響で野球を始めた。昨夏の甲子園で4強入りした浦添商のエース伊波翔悟(19)と小、中学と同じチームで育ってきたが「1年から試合に出たかったから」と浦添工へ進学。昨夏は宮古と延長再試合の末に初戦敗退。昨秋は沖縄尚学を破り自信を深めた。180センチ、70キロと細身の体形、父譲りの彫りの深い顔立ちから「沖縄のダルビッシュ」とも呼ばれる。「格好良くて体も大きい。フォームとか全体的な雰囲気をまねています」と、あこがれの存在であることを隠さない。

 この日は米フィラデルフィアから祖母キャシーさんが応援に駆けつけた。米国人を父に持ちながら「お父さんとの会話は半分日本語。英語は苦手です」と笑うが、祖母にいいプレゼントができた。「去年の夏は短かったので、今年は長い夏にしたいです」と言い切る。目標はもちろん甲子園。運天の夏はまだ始まったばかりだ。【前田泰子】