<高校野球・秋季静岡大会地区予選>◇30日◇磐田球場ほか

 西部で4校が県大会出場を決めた。磐田南は、今春の東海大会王者の掛川西を6-3で下す大金星で、2年ぶり10度目の県切符をつかんだ。2回に先制を許すも、その裏に逆転。戸田将斗投手(2年)が安定した投球で追撃を許さず、逃げ切った。浜松商は15―4で磐田東に逆転勝ちし、3年連続44度目の県大会進出。6回に打者15人の猛攻で一挙に11得点を奪った。9番鈴木翔貴遊撃手(2年)が3安打3打点を挙げるなど、先発全員安打で大勝した。

 最後の飛球は「三度目の正直」だった。磐田南は大金星まであと1人となった9回表2死の場面で、ファウルボールを取ろうと、相佐元紀三塁手(2年)が猛烈な勢いでフェンスに激突した。幸い大事には至らなかったが、直後に相佐と寺田光輝左翼手(2年)が再びファウルボールを「お見合い」。土壇場で思わぬ足踏みはしたが、最後にきっちり寺田が取って、歓喜の輪ができた。

 打っても2打点と活躍した主将の寺田は「去年は県大会まであと1勝というところで負けた。『今日はその壁を破るぞ』と、みんなで話していた」。今春のセンバツ出場の東海大会王者を撃破しての有言実行に笑いは止まらない。

 先発した戸田は、先制点を許しても動じることはなかった。サイドスローから手元で変化する直球とスライダーで、掛川西の強力打線を3失点に抑え、勝利の立役者になった。敵将の上村敏正監督に「手元で落ちるボールにてこずった」と言わしめた。しかし、戸田は「指のかかり具合で緩く曲がる。でも、投げないと自分にも分からないから、投げ分けることができない」。本人にも予測不能の「魔球」で、王者をとまどわせた。

 よもやの大金星の後には、さらなる「強敵」が待ち受ける。磐田南は毎年約100人の卒業生を国公立大に送り込む進学校。31日には、課題テストが実施される。毎日4~5時間の限られた時間の中で、文武両道に励んできた野球部員にも特別扱いはない。「(掛川西より)テストの方が強敵です」と寺田主将。「連戦」に備え?

 早々にバスに乗り込んだナインにはもう、試合直後の笑顔はなかった。【栗田成芳】